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Chapter.13 未知なる扉
(47GTは大幅な仕様変更により、自己ベスト更新の兆しが見えはじめた)

image1  午前8時00分。コースクリアを示すグリーンフラッグが振られ、その瞬間、マイスターカップ第2戦の予選がスタートした。
 コースインをはたした僕にとって、気になる存在は、ゼッケン11番を付けるマルゼン・セブン。前回の開幕戦において47GTを決勝で抜き去り、しかもレース中のベストラップをたたき出した強敵である。
 聞くところによれば、マルゼン・セブンの自己ベストタイムは57秒フラット。このマイスターカップにおいてはもちろん、ポールポジションを狙えるタイムだ。まして他のマシンを寄せつけない、驚異的なポテンシャルをその数字は意味している。
 それだけに、僕の心境は穏やかじゃなかった。はたして、57秒台の予選タイムをライバルはマークするのか。そして47GTは、どこまで追従できるのか。予選順位を示す電工掲示板をつねにバックストレートから確認しつつ、ライバルの動向を気にしていた。
image2  ただ47GTに対しても、おそらくライバルはいつも以上に注意力を高かめていたに違いない。開幕戦で苦い涙を飲まされた我がチームは、47GTを大幅に改良してこの第2戦に挑んでいたからだ。実際のところ、57秒台の予選タイムが記録されてもおかしくない、仕様だったのである。
 たとえば、エンジンは新たに積み換え、一段とパワフルな仕様に変更。パワーにして約20psはアップしてるだろう。特性としては4000回転あたりでピークトルクを迎え、高回転域まで一気に吹け上がる性格に調教された。エンジン回転数が落ち込みやすい筑波のヘアピンなどでは、低い転域からでも強力な加速が得られ戦闘力に磨きがかかったといっていい。
image3  サスペンションも大幅に見直された。前回のレースでは、とくにフロントタイヤ ショルダー部が激しく消耗していたため、アライメントおよびスプリング・バネレートの見直しを実施。スプリングのバネレートは、フロント10%、リア20%ほど数値を高め、コーナーリング時での旋回性能の向上を図った。バネレートの増加にともない不足するダンパーの減衰力も補足。従来のスパックス製では守備範囲を超えるため、F3で使われていたコニー製のものに変更。リバンプ側の減衰力が高いことが特徴だ。
 アライメントではキャンバーを変更。これまでは0度だったフロント側を-2度までキャンバーを与え、リア側も0度から-1度にスイッチ。ロール時のタイヤの接地状態を最適化する改良を行った。
 その改良範囲は、まさに57秒台へと47GTを誘い込むに充分な内容である。それだけに、47GTのこの変化を予選前に知ったライバルであれば、こちらの実力が気にならないわけがない。僕と同じように、つねにバックストレートから予選順位を伺っていたはずだ。
 実際に予選で確認した47GTの走り性能は、飛躍的な成長を示していたと言っておこう。とくにハンドリングが見違えていた。コーナーではフロントタイヤのグリップが向上していて、アンダーステアも減少。そのため、コーナー出口での加速を、一段と強しても可能なほど軽快さが増している。リアにしろスタビリティが高く、高速コーナーでも滅多に挙動を乱すことが無くなっていた。
 「おそらく57秒台の予選タイムは確実」。その言葉が僕の頭に浮かんでいたことは言うまでもない。自己ベストの更新を確信していた。
 ところが、タイムボードに表示されるデータは、予想を裏切るものだった。予選タイムは58秒859。これまでの自己ベストも下回るタイムしか記録できなかったのである。
 バックストレートから確認した電工掲示板は、惜しくも2番手を示した状態だった。
image4 ドライビングのミスなのだろうか、それとも僕のテクニックに問題があるか?
 予選を終えたボクの脳裏には、そんな自問自答が繰り返されていた。
 ただし、57秒台に突入できなかったその理由は、決勝を走ってみて何となくわかった。それは、レース展開を説明すれば理解が早いだろう。
 シグナルが青に変わり決勝がスタート。47GTの特性を理解している効果か、絶妙なトラクションを引き出して、スタートでは一気にトップへと躍り出る。が、逃げ切り体制をライバルのマルゼン・セブンは許さなかった。ヘアピンの立ち上がりや、ダンロップコーナー、そして80Rといったインフィールドでは47GTが速い。しかし、バックストレートについては、マルゼン・セブンの加速が優れているようで、ブロックラインを選ばなければ容易に抜き去られてしまう状況。まして最終コーナーの立ち上がりも、47GTを上回る脱出スピードを見せていたのである。
 すでに気付いたとおもうが、その走りを分析してみると、47GTはストレートスピードに伸び悩みをみせていることがわかる。エンジンの軽快に吹け上がりは、快調なのにだ。
 勝手な解釈をすれば、ストレートスピードに成長がみられないのは、おそらくパワーウエイトレシオ。新しいエンジンは、パワーが上がっているものの、重量が25kgほど増大になったことが原因のひとつ。さらにエンジンコンピューターの燃調マップも専用のプログラムではないと聞いたため、本来の性能を発揮してないということも原因のようだ。
 しかし決勝でトップを守り切れなかったのは、僕の技量も原因のひとつ。強引にブロックラインを走り続ければよかったものの、ついつい親切心を出してしまうのか、稀にガードに甘さが出てしまうのである。今回のレースでいえば、1コーナーの進入がその良い例だ。イン側のガードが甘く、マルゼン・セブンに飛び込まれ、レース序盤にトップを交代。 image5 一時、周回遅れに行く手をはばかれたマルゼン・セブンに背後まで接近する場面もあったものの、15周の決勝のゴールを迎える時点では約5秒まで離され、2位でフィニッシュする結果となった。
 もちろん、苦い涙を飲まされたまま引き下がることはできない。前述した通り、47GTは今回の大幅改良で、戦闘力が高まったのは事実。とくにサスペンションは良い方向に向いているため、セッティングに時間をかけることで速さが一段とますに違いない。新しく搭載されたエンジンも、本来の性能を取り戻せば、57秒台のタイムも無理ではないだろう。それだけに記録更新の話題も、そう遠くない明日に報告できると思う。

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