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Chapter.15 勝利への追求
(記録は塗りかえるためにあるもの!性能の進化が進みタイムは57秒台に!)

 西から迫る低気圧の接近で、マイスターカップが開催された筑波サーキットは、珍しく雲一色の空模様。いつ雨が降り出してもおかしくない天候、チーム関係者は、いつになく神経をとがらしていた。
 しかしながら、僕にとってはそれどころじゃなかった。欲張り心がいたずらして、この日は某自動車雑誌の依頼も受けてしまい、サポートレースである「フォーミュラ隼」にダブルエントリーする予定だったので大いそがし。しかもタイムスケジュールは、つねにマイスターと隣り合わせ。予選終了した5分後には、マイスターの予選。決勝もインターバルがやはり5分間という過密したスケジュールのため、天気がどうのこうの言ってる暇がなかったほど。
 もっとも、正直に白状してしまえば、忙しいながらも充実度が満点だったもの確か。

 47GTは前回から速さに磨きがかかり、さらに今回は一段と進化を歩み、戦闘力もよりアップグレードしていたので浮かれていたのも事実。まして、フォーミュラ隼は、スズキが誇るビッグバイク、“1300はやぶさ”の大半パーツを流用して制作したフォーミュラ。ミッションはヒューランド、挙動はフォーミュラならではのダイレクトな楽しさがあるため、その2台の本格的マシンを堪能できる今回は、うっかり気分が弾けてしまった。
 なかでも興味を高めていたのは47GTのベストラップ更新。「記録は塗りかえら れるもの」と、ここでのタイトルで書ける予感がしていたため。もちろん、その根拠もある。まず4速ギアをハイギアード化、前回は一瞬だけ5速に入れないとエンジンが吹け切っていた80Rも、現在はシフトアップなしで駆け抜けられる状態。ブレーキにしても制動力を向上させるパッド材質に変更され、より積極的なコーナー進入も 可能になったなど、今回の47は、いまだ飛び込んだことのない57秒台に、ラップタイムを突っ込めるポテンシャルを得ていた。
 しかも、当日の気温は秋の陽気。冬に比べ条件は悪いにしろ、それでもマシンにとってはほどよいコンディション。あわよくば56秒台もありえるか・・・、と、“世界一ポジティブなヤツ”に変わっていた。

 ともあれ、そこまでポジティブな状態に気分が高まったのも、理由があってのこと。というのは、当日のもうひとつのイベント、フォーミュラ隼のワンメイクレースが切っ掛け。実はなんとそのレースで、ポールポジションを獲得。そう、マイスターカップでは、ここしばらく遠のいていたタイトルの獲得だった。
 しかも、レースに参戦していたF3000やGT選手権の有名ドライバーをブッチぎってのポールポジション。「マイスター・ドライバーここにあり」の、まさに救い ようのないほどのノリノリ状態だった。その快挙をマイスターの予選の前に獲てしまったため、“世界一ポジティブなヤツ”に変身したのも当然なのということだった。

 したがって、その5分後に行われたマイスターカップの予選は、容易に想像できるとおり、負け気が一切ない心境でスタート。うまくクリアーラップを取り、2回のアタックでベストラップをたたき出す計画だった。もちろん目標は、フォーミュラ隼につづきポールポジション。タイムも57秒台ねらい。おとこ橋澤のみせどころとなった。
 ・・・が、結果はいまひとつ中途半端な内容。これが僕の実力なのか?目標だったポールポジションを獲得でき嬉しい気持ちが味わえたものの、予選中に遅い車両に行くてを塞がれ、念願の57秒台の記録更新は延期。幸運をみかたに付けることができず、すっきりしない結果となった。
 ましてこのことが影響してか、そのあと行われたフォーミュラ隼の決勝も、絵に書いたようなヒサン劇。スタート直後にブッチギリ体勢を築いたものの、その勢いもレース序盤まで。サスペンションにトラブルを抱え、予想もしなかったほど順位は大きく後退。最終的にリタイアを余儀なくされる、最悪な結果となったのだ。
 マイスターカップの決勝を前に、このレース展開はまさにフキツ。「まさか今日はこんな展開が続いたり・・・」、そんな悪夢が頭をよぎった瞬間、世界一ポジティブ な自分も消え去ってしまった。

 ところが逆境に強いのか、ひとたび決勝のスタートを切ったときには勝利心が蘇っていたのは不思議。スタートして数周、フロントタイヤがなかなか温まらずコーナースピードを思うように上げられない状態が続き、2番手のマルゼンセブンから猛烈チャージを受けたときは確かに焦った。さっきの悪夢がよぎったのも事実。しかし、その時の心境は「こりゃ、勝てる」のひこと。ブレーキングだろうが、サイド・バイ・サイドのバトルだろうが、きっちりトップの座を守り切る理由なき自信が走りに表れていた感触だった。
 余談になってしまうが、そのとき抱いていた自信を今になって振り返ってみると、以前、耳にしたことのあるテストステロンという男性ホルモンの一種の話を思い出す。
 そのテストステロンは、コウガン(いわゆるキンタマ)で作られる男性ホルモンの一種で、勝利心や意欲に影響するらしく、エッチな会話や行為をすることで、そのテストステロンは高まると聞いた。ようするに、“おとこ”を忘れてしまうと、逆に低下するホルモンでもあるらい。
 つまり、何を言いたいかといえば、そのホルモン話が真実だとすれば、きっと僕は恵まれた環境にある。より正確に話せば、それはレースのたびに応援に来てくれるグループロータスのメンバーがつくり出す環境のこと。実をいうと、僕はそのメンバーとエッチな話しをすることがあって、今回も決勝スタート寸前まで語り合っていた。おそらく僕の緊張をほぐす気づかいとも思うが、今となって思えば、テストステロンの説はまんざらウソじゃなさそうな気持ちということ。

 事実、決勝レースは途中から有利な状況に一転。フロントタイヤが本来のグリップを取り戻したあたりから、しだいにペースアップが図れるようになり、2番手のマルゼンセブンとの差がひらき始めた。さらに周回遅れの車両がではじめると、その差が少しづつ拡大。以前のように、ストレートで追い付かれる様子もなく、コーナーリングスピードも互角。コーナー脱出のスピードは、むしろ47GTがリードしている感じだった。しかも、そんな絶好調の走りが展開されるなか、サインボードには57秒台のタイムの掲示。ライバルのベストタイムと遜色ないその数字を見た瞬間、すでに今回の勝利を確信したといえた。

 テストステロンはさておき、今回レースは完璧だった。レースはこび、そしてマシンのコンディションといい、すべてが最高といっても間違いじゃない。トップスピードやコーナー性能は、これまでを完全に上回っていた。もはやライバルにとっては、隙のない相手に思う存在だろう。ただ、だからといって47GTは進化を終わらせない予定だ。確かに57秒台の新記録をマークしたが、4速のギア比を見直す必要があり、さらにブレーキバランスのツメもまだまだ。タイムアップに向け、考えられるポイントが残っている状態だ。記録が塗り替えられる日も、そう遠くはないだろう。
 そのために、テストステロンが減少しないよう、僕としても努力をしなければ。変態と呼ばれない程度に・・・。

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